“本番”と直結するようになってきたGⅠ前哨戦

オープン特別として行われていた1997年以前を含め、1999年までの富士Sは11月に行われていたが、2000年に現在の開催時期(10月)へ移された。それ以降はマイルチャンピオンシップの前哨戦に位置付けられているが、マイルチャンピオンシップにおける“前走が富士Sで2着以内”だった馬の成績を調べると、2000~2009年の10年間は〔0・0・0・16〕(3着内率0%)と好走例が全くなかったが、2010~2017年の8年間では〔1・3・1・6〕(3着内率45.5%)と成績が好転している。また、2014年のマイルチャンピオンシップを“同年の富士Sで7着”だったダノンシャークが、2017年のマイルチャンピオンシップを“同年の富士Sで5着”だったペルシアンナイトが制すなど、この富士Sで好走できなかった馬がマイルチャンピオンシップを優勝した例もある。今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみよう。




東京・芝1600メートル

2コーナーにあるスタート地点から、3コーナーに真っすぐ向かっていくレイアウト。向正面半ばに上りがあり、その後3コーナーにかけて下っていく。最後の直線は525.9メートル。直線に向いてすぐに約160メートルの上り(高低差2.0メートル)があり、ゴールまでの残り約300メートルはほぼ平坦。前半が速くなりやすく、坂を上った後にゴール前でもう一段末脚を伸ばすことが要求される。速い時計の決着になると、スプリンタータイプ、インを回ってくる馬が好走しやすく、逆に時計がかかるときには、末脚のしっかりしたタイプ、中距離型が好走しやすい。

6歳以上の馬は不振

過去10年の3着以内馬延べ30頭中26頭は、年齢が「5歳以下」だった。一方、「6歳以上」の馬は優勝例がなく、3着内率が6.9%にとどまっている。6歳以上の馬は評価を下げた方がよさそうだ。〔表1〕

〔表1〕年齢別成績(過去10年)
年齢 成績 勝率 連対率 3着内率
3歳 3-1-3-34 7.3% 9.8% 17.1%
4歳 4-3-3-12 18.2% 31.8% 45.5%
5歳 3-3-3-31 7.5% 15.0% 22.5%
6歳 0-3-0-33 0% 8.3% 8.3%
7歳 0-0-0-14 0% 0% 0%
8歳 0-0-1-6 0% 0% 14.3%
9歳 0-0-0-1 0% 0% 0%
5歳以下 10-7-9-77 9.7% 16.5% 25.2%
6歳以上 0-3-1-54 0% 5.2% 6.9%





なお、年齢が「6歳以上」だった馬のうち、“同年のJRAの1600メートルの重賞”において連対経験がなかった馬は、3着内率2.0%とより苦戦している。6歳以上、かつ年明け以降に今回と同じ1600メートルの重賞で連対経験のない馬は過信禁物と見るべきだろう。〔表2〕

〔表2〕年齢が「6歳以上」だった馬の、“同年のJRAの1600メートルの重賞”における連対経験の有無別成績(過去10年)
連対経験の有無 成績 勝率 連対率 3着内率
あり 0-3-0-6 0% 33.3% 33.3%
なし 0-0-1-48 0% 0% 2.0%





実績馬は堅実

過去10年の出走馬の負担重量別成績を調べると、「57キログラム以上」だった馬が3着内率31.6%と比較的優秀な成績を収めている。このレースは過去に勝利した重賞レースの格に応じて負担重量が決まる別定競走だが、より高い格のレースの勝利実績があって負担重量が重くなる実績馬はそれなりに信頼できるようだ。〔表3〕

〔表3〕負担重量別成績(過去10年)
負担重量 成績 勝率 連対率 3着内率
57kg未満 5-6-7-105 4.1% 8.9% 14.6%
57kg以上 5-4-3-26 13.2% 23.7% 31.6%





ちなみに、負担重量が「57キログラム未満」だった馬のうち、年齢が「5歳以上」だった馬の優勝例はなく、3着内率も6.2%にとどまっている。負担重量が「57キログラム未満」の馬を比較する際は、〔表1〕で指摘した6歳以上の馬だけでなく、5歳の馬も評価を下げるべきだろう。〔表4〕

〔表4〕負担重量が「57キログラム未満」だった馬の年齢別成績(過去10年)
年齢 成績 勝率 連対率 3着内率
4歳以下 5-4-5-44 8.6% 15.5% 24.1%
5歳以上 0-2-2-61 0% 3.1% 6.2%





近年はマイルGⅠで好走経験のある馬が好成績

過去7年の3着以内馬延べ21頭中10頭は、“JRAの1600メートルのGⅠ”において3着以内に入った経験のある馬だった。この経験を持つ馬は3着内率が33.3%に達している。2010年以前はこの経験のない馬の好走例が多かったが、近年の傾向を重視するならば、まずは今回と同じ距離のGⅠで好走したことがある馬に注目したいところだ。〔表5〕

〔表5〕“JRAの1600メートルのGⅠ”において3着以内に入った経験の有無別成績(過去7年)
経験の有無 成績 勝率 連対率 3着内率
あり 5-3-2-20 16.7% 26.7% 33.3%
なし 2-4-5-67 2.6% 7.7% 14.1%





ちなみに、“JRAの1600メートルのGⅠ”において3着以内に入った経験がなかった馬のうち、年齢が「5歳以上」だった馬の連対例はなく、3着内率も4.1%にとどまっている。今回と同じ1600メートルのビッグレースで好走したことがない馬を比較する際は、〔表1〕で指摘した6歳以上の馬だけでなく、5歳の馬も過信禁物と見ておきたい。〔表6〕

〔表6〕“JRAの1600メートルのGⅠ”において3着以内に入った経験がなかった馬の年齢別成績(過去7年)
年齢 成績 勝率 連対率 3着内率
4歳以下 2-4-3-20 6.9% 20.7% 31.0%
5歳以上 0-0-2-47 0% 0% 4.1%