ごくわずかな差で明暗が分かれるトップスプリンターたちの頂上決戦

2008~2017年にJRA賞最優秀短距離馬のタイトルを獲得した延べ10頭のうち、2015年のモーリスを除く9頭は同年のスプリンターズSにおいて連対を果たしていた馬である。

昨年もスプリンターズS優勝馬のレッドファルクスが290票中264票を獲得して同タイトルを受賞した。現役最強スプリンターの称号にふさわしい馬を決める重要な一戦と言えるだろう。なお、2着馬に1馬身以上の差をつけて勝ったのは2011年のカレンチャン(1馬身3/4差)が最後であり、ここ6年の優勝争いは1馬身未満の着差での接戦が続いている。激戦必至の大一番を展望すべく、新潟・芝1200メートルで行われた2014年を含む過去10年のレース結果から、好走馬に共通しているポイントを分析してみたい。




中山・芝1200メートル(外回り)

スタート地点は2コーナー(外回りコース)の下り坂にある。3コーナーまでの距離は約300メートルと短いが、コーナーは比較的回りやすく、3コーナー半ばまで下りが続くため、前半のペースは速くなることが多い。4コーナーを回って直線は310メートル。直線の半ばには急勾配(高低差2.2メートル)の上り坂が待ち受ける。2014年の路盤改修後は3コーナーからスピードが乗りやすくなり、以前よりは上がりも出やすく(速く)なった。タフな馬場になりやすい春の開催では馬力と末脚、スピード勝負になりやすい秋の開催ではインで立ち回る器用さを要求されるコースだ。

年明け以降の戦績がポイント

過去10年の3着以内馬延べ30頭中14頭は、“同年のJRAの1400メートル以上のレース”において優勝経験のある馬だった。該当馬の3着内率は56.0%に達している。2016年以降の過去2年は、出走馬の中で3頭しかいなかった該当馬が1~3着を占めているだけに、引き続き注目しておこう。〔表1〕

〔表1〕“同年のJRAの1400メートル以上のレース”における優勝経験の有無別成績(過去10年)
優勝経験の有無 成績 勝率 連対率 3着内率
あり 5-5-4-11 20.0% 40.0% 56.0%
なし 5-5-6-119 3.7% 7.4% 11.9%

なお、“同年のJRAの1400メートル以上のレース”で優勝経験がなかった馬のうち、“同年のJRAのGⅠ”において4着以内に入った経験もなかった馬は3着内率6.3%と苦戦している。連対を果たしたのは2008年1着のスリープレスナイトと、香港馬でJRA初出走だった2010年1着のウルトラファンタジーだけである。年明け以降のビッグレースにおける実績も重視したいところだ。〔表2〕

〔表2〕“同年のJRAの1400メートル以上のレース”において優勝経験がなかった馬の、“同年のJRAのGⅠ”において4着以内に入った経験の有無別成績(過去10年)
経験の有無 成績 勝率 連対率 3着内率
あり 3-5-1-15 12.5% 33.3% 37.5%
なし 2-0-5-104 1.8% 1.8% 6.3%




前走の着順や単勝人気に注目

過去10年の3着以内馬延べ30頭中21頭は、前走の着順が「4着以内」だった。一方、「5着以下」だった馬は3着内率11.0%とやや苦戦している。基本的には前走好走馬が優勢なレースと見ておきたい。〔表3〕

〔表3〕前走の着順別成績(過去10年)
前走の着順 成績 勝率 連対率 3着内率
4着以内 7-7-7-57 9.0% 17.9% 26.9%
5着以下 3-3-3-73 3.7% 7.3% 11.0%




また、過去10年の3着以内馬延べ30頭中26頭は、前走が“国内のレース”、かつそのレースでの単勝人気が「4番人気以内」だった。一方、「5番人気以下」だった馬は3着内率が4.8%にとどまっている。前走の着順が良かった馬だけでなく、前走で上位人気に推されていた馬も高く評価すべきだろう。〔表4〕

〔表4〕前走が“国内のレース”だった馬の、そのレースの単勝人気別成績(過去10年)
前走の単勝人気 成績 勝率 連対率 3着内率
4番人気以内 9-9-8-63 10.1% 20.2% 29.2%
5番人気以下 0-1-2-59 0% 1.6% 4.8%




“乗り替わり”は割り引き

過去10年の連対馬延べ20頭は、いずれも「前走と同じ騎手」が騎乗していた。一方、「前走と異なる騎手」が騎乗した馬は3着内率8.1%と苦戦している。いわゆる“乗り替わり”で臨む馬は評価を下げた方がよさそうだ。〔表5〕

〔表5〕騎手別成績(過去10年)
騎手 成績 勝率 連対率 3着内率
前走と同じ騎手 10-10-5-73 10.2% 20.4% 25.5%
前走と異なる騎手 0-0-5-57 0% 0% 8.1%




近年は牝馬が好成績

過去4年の3着以内馬延べ12頭中7頭は牝馬だった。以前からも牝馬の好走はそれなりにあったが、近年は特に好走率が高いので、ぜひ注目しておきたい。〔表6〕

〔表6〕性別成績(過去4年)
成績 勝率 連対率 3着内率
牡、せん 3-2-0-38 7.0% 11.6% 11.6%
1-2-4-15 4.5% 13.6% 31.8%




先行タイプは過信禁物

過去4年の3着以内馬延べ12頭中11頭は、前走が“国内のレース”、かつそのレースでの4コーナーの通過順が「3番手以下」だった。一方、「2番手以内」だった馬は連対がなく、3着内率は7.1%にとどまっている。2013年以前は前走の4コーナーを「2番手以内」で通過した馬の活躍が目立っていたものの、近年の傾向を重視するなら、前走で先行していた馬は評価を下げるべきだろう。〔表7〕

〔表7〕前走が“国内のレース”だった馬の、そのレースの4コーナーの通過順別成績(過去4年)
前走の4コーナーの通過順 成績 勝率 連対率 3着内率
2番手以内 0-0-1-13 0% 0% 7.1%
3番手以下 4-4-3-34 8.9% 17.8% 24.4%
  • 注記:前走が新潟・芝直線1000メートルだった馬を除く